スポーツ障害に対するリハビリテーション
現在、小・中学生のスポーツ活動は、安全に遊べる場所が少なくなったこともあり、クラブ活動に入って運動をよくする子どもと、運動をしない子どもの二極化にあります。
その結果、体力が高い子どものタイプ、低い子どものタイプと格差がひろがっています。
発育期の小・中学生は、大人と比べ軟骨が分厚く、筋肉と骨とのバランスが不安定な時期でそれぞれのタイプに運動スポーツ時の障害がみられます。
障害の要因としては…
個体差によるもの
①からだの柔軟性の低下(筋肉・関節の硬さ)
《「しゃがみこみ」できない子どもの例》 |
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②体幹、上・下肢の軸(アライメント)による不安定性
正常 |
外反例 |
《下腿と足部のアライメント》 |
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運動によるもの
①運動動作の中での軸のブレ(動的アライメントが不安定)
knee-in-toe-out (膝が内側に入り足が外向きになる) |
股関節の屈曲が少ない |
《パワーポジションの不良例》 |
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膝とつま先の方向が一致 |
体幹前傾と下腿前傾が平行 |
《正しいパワーポジション》 |
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②誤った運動動作(ジャンプの着地、ターンなど)による過負荷
③オーバーユース(過度な運動量)
代表的な障害・外傷
- 踵骨骨端症(ジーバー病)
- 少年野球ひじ(上腕骨内側上顆障害など)
- 少年野球かた(上腕骨近位骨端線離開など)
- サッカーひざ(オスグッド病、ラルセン病、離断性骨軟骨炎など)
- 腰椎分離症
- 疲労骨折・シンスプリントなどのランニング障害
- 肉ばなれ
- 膝(靭帯・半月版損傷、ジャンパー膝、腸脛靭帯炎など)
- 足関節捻挫(外側靭帯損傷など)
スポーツ障害に対して
1. 早期発見
レントゲン: 脛骨粗面部の不整像 (進行期) |
エコー: 脛骨軟骨面の 不整像 |
血流の変化を見る ドップラー法で 現在の炎症状態を確認 |
2. 早期治療
肩のストレッチ |
肩甲部・体幹の ストレッチ |
下肢のストレッチ |
からだの筋肉・関節の硬さを適切なストレッチで筋肉を柔らかく、 関節の動きをよくしていきます。 |
体幹・下肢のバランス安定 |
体幹の筋力強化 |
インソール(足底板) |
オスグッドバンド装具 |
3. 再発予防
バランス ディスクで片足立ち ↓ 静止 |
側方からの外力 ↓ 体幹・ 下肢軸の安定 |
バランス ディスクへジャンプ → 着地の安定 |
ゴムチューブによる膝が内側に入るのを補正し正しいポジションへ |
運動器の発育・発達を健全に、スポーツ活動が継続できるように
保存的に治療していきます。
スポーツクリニックとは
スポーツ選手・愛好家の方を対象に、スポーツに伴う外傷・障害に対して
<1>競技に早く復帰できるように、<2>長く競技を続けられるように
サポートし、選手の立場にたった保存的治療を進めていきます。
スポーツ外傷
ラグビー、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツなどで見られる大きな外力が加わって生じる急性のもの
- 靱帯損傷(膝前十時靱帯損傷、膝内側側副靱帯損傷、膝後十字靱帯損傷、肘内側側副靱帯損傷、アキレス腱断裂など)
- 捻挫(足関節靱帯損傷:前距腓靱帯・三角靱帯損傷、二分靱帯損傷など)
- 膝半月板損傷
- 肉ばなれ(ハムストリング肉ばなれ、下腿三頭筋肉ばなれなど)
- 骨折(手指骨折:突き指による末端骨裂離骨折・槌指、舟状骨骨折、有鈎骨骨折、投球骨折、骨盤骨折:上前腸骨棘裂離骨折・下前腸骨棘裂離骨折・腸骨稜裂離骨折、足関節骨折など)
- 肩関節脱臼
- 肩腱板損傷
- 肩関節唇損傷
- 打撲による下腿コンパートメント症候群
など
スポーツ障害
野球、バレーボール、テニス、水泳など肩、肘、下肢の使いすぎ・オーバーユースによって生じるもの
- 野球肩
(上腕二頭筋長頭腱炎、肩インピンジメント症候群、肩腱峰下滑液胞炎、肩関節唇損傷、肩腱板損傷、ベネット骨棘、ルーズ ショルダーなど) - 野球肘
(肘内側上顆小骨片、離断性骨軟骨炎、関節遊離体、尺骨神経症、肘頭疲労骨折など) - 少年野球肩
(上腕骨近位骨端線離開:リトルリーガーズショルダーなど) - 少年野球肘
(上腕骨小頭障害、上腕骨内側上顆障害など) - テニス肘(上腕骨外側上顆炎など)
- 成長期の下肢障害
(オスグッド病、シーバー病など) - 疲労骨折
(腰椎分離症、脛骨・腓骨疲労骨折、中足骨疲労骨折など) - ランニング障害等による下肢シンスプリント
- ジャンパー膝
- 腸脛靱帯炎
- アキレス腱炎
- 足底腱膜炎
など